先月、フィールド調査のため、某中山間過疎地に行ってきました。
数日間、町内の様々な地域を見て回りましたがとにかく人がいません。正確には歩いている人がいない。ではどこにいるのかと言うと、車の中、家の中、施設の中。
町役場の方によれば、モーダル分担率の内、自家用車が占める割合は9割を超えるのだそうです。また、免許返納のギリギリまで高齢者の方は車を運転なさるのだそうです。
他方、過疎化は職を求めて首都圏に人が移動する社会増加によってもたらされていますが、少子高齢化(人口減少)のトリガーを引いたのは工業化(Society3.0)だと言われています。
工業化の推進によって、各事業会社は社員に対して福利厚生を手厚くし終身雇用を維持してきました。そのため「家族」は生活のための様々な機能を「勤め先」と共有することとなり、その結果として「家族」と「地域」との分断が進んだことが「核家族化」を生み、少子高齢化に繋がったとされています。
また、この「核家族化」に拍車をかけたのは「自家用車」の存在だったのではないかと思います。移動という機能を内部化することで、居住地域に柔軟性が生まれ、地域との関係性を希薄化したのではないかということです。
過疎を止めるためには、「家族」と「地域」との関係性を今一度見直していく必要があり、それを支えるできるだけ自家用車に頼らない移動を考える必要があるのですが、それは一体何なのか。そんなことを考えながら帰路につきました。